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日本郵政グループのリスク管理
2024年4月、リスク管理機能をクライシスマネジメント機能に統合し、クライシスマネジメント統括部が一元的に管理することによって、「危機の未然防止」、「リスク顕在化の早期把握」、「影響極小化」の三位一体の取り組みを進めているところです。リスク管理の取り組みとしては、新たに新興リスク(未知のリスク)を含め、日本郵政グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの統制を強化することにより、グループに重大な影響を与える可能性のあるリスクの顕在化を未然防止する仕組みの整備を行うとともに、リスク発生時の経営への報告の迅速化にも取り組みます。
また、リスク管理とクライシスマネジメントの統制範囲を整合させることで、リスクが顕在化した際の危機管理等へのスムーズな移行を実現します。
さらに、グループガバナンス強化のためグループのリスク管理統括責任者として、執行役のなかから「グループ・チーフ・リスク・オフィサー(グループCRO)」の選任、グループ各社のリスク管理担当役員をメンバーとする「グループリスク管理委員会」等を通じて、グループ各社のリスク管理の向上に向けた情報共有・協議等を実施しています。なお、グループ各社は自社のリスク管理を統括する部署を定め、自ら主体的に自社の事業特性に応じたリスクの特定、評価、制御、モニタリング等のリスク管理を行うとともに、日本郵政に対し必要な報告をする等のリスク管理態勢を整備しています。
リスク管理に係る事項は「リスク・コンプライアンス委員会」で審議し、経営会議に報告しています。さらに、重要な事項は、経営会議に おいて審議するとともに、取締役会に審議を求め、又は報告しています。
これらの取り組みを行うことで、グループの永続的な健全経営を目指していきます。
リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)
日本郵政グループでは、収益拡大のために取る、あるいは許容するリスクの種類と量(リスクアペタイト)を明確にし、グループ全体のリスクをコントロールする枠組みとして、2021年度より「リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)」を導入しました。
日本郵政グループは、本枠組みを活用し、経営層が経営計画とともに取得するリスクと種類を承認し、想定外損失の回避、リスク・リターンの向上、アカウンタビリティの確保を通じて企業価値向上を目指します。
事業別リスクアペタイトの基本的考え方
金融事業(ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険)
ALM・運用業務・保険引受で適切なリスクテイクとリスクコントロールにより、財務の健全性を維持しつつ、収益の確保を目指します。
非金融事業(日本郵政・日本郵便)
郵便・物流事業、不動産事業及び新規事業において、金融事業及び既存事業を除く資本の範囲内で、適切なリスクテイクとリスクコントロールにより、財務の健全性を維持しつつ、新たな収益の確保を目指します。
グループ重要リスクの管理
日本郵政は、外部環境の変化や事業戦略等を踏まえ、毎年、日本郵政グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスク(グループ重要リスク)の見直しを行っています。具体的なリスクの特定、評価については、取締役及び執行役へのアンケート(役員アンケート)を通じて行い、改善策の策定、改善策取り組み状況のモニタリング等を経営陣が行うPDCAサイクルを回しています。
また、グループ重要リスクは、有価証券報告書「事業等のリスク」として開示しています。
トップリスク
日本郵政では、取締役等にアンケートを実施して、「経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスク」を把握し、その結果、発生可能性と影響度の観点からリスクの重要度を評価して、上位に位置づけられるリスクを「トップリスク」と定めています。
日本郵政は、トップリスクの管理状況改善策等をグループ会社と連携してモニタリングし、リスク顕在化防止や、グループ経営に及ぼす影響を極小化する取り組み、RAFや経営計画策定の議論に活用しています。さらに、業務等で発生するリスクのなかから注視するリスクを定め、トップリスクと併せて管理する態勢の構築を進めていきます。
(※)ここに掲載している事業等のリスクは、本レポート発行時点における主な事項を例示したもので、これらに限定されるものではありません。
詳細は有価証券報告書をご覧ください。
2024年度のトップリスクと主な想定シナリオ(当社経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスク)
トップリスク | 主な想定シナリオ | |
1 | 郵便・物流事業に関するリスク | デジタル化の進展に伴う郵便物の減少(コストに見合う郵便料金設定後を含む。)、他社との競争激化やEC市場の拡大による荷物等収益の低迷、日本郵便における競争力強化の取り組みが奏功しないこと等により、当社グループの収益が大幅に減少する。 |
2 | ユニバーサルサービス提供に係るリスク | 収益力向上、業務効率化に向けた取り組みが奏功しない、インフレ等事業環境の変化に伴い、ユニバーサルサービス維持のための費用負担が増大する。 |
3 | 人的リスク | 賃金水準が他社に劣後し、各種業務に従事する人材のほか、IT等の専門人材が確保・維持できない。また、人事労務上の問題発生により、働きがいのある職場環境を提供できないことで人材の流出・不足や人件費の増加を招き、競争力を失う。 |
4 | 金融商品の営業活動に関するリスク | 当社グループで取り扱う保険商品や投資信託について、新商品の開発やお客さまの利便性を考慮した営業活動が奏功せず販売実績が低迷し、当社グループの収益が大幅に減少する。 |
5 | 新規事業・資本提携・業務提携・M&Aに関するリスク | 新規事業による成長戦略が実現できない、資本・業務提携等による効果が得られない、投資事業に係る減損損失の発生等により、当社グループの収益が大幅に減少する。 |
6 | DXの取組みが奏功しないリスク | グループ横断的なDX施策が奏功しない、また、事業環境の変化に適時かつ適切に対応できないことにより、競争力が低下する。 |
7 | 金融市場環境の変化に関するリスク | 急激な市場変動により金融2社の経営が悪化し、保有資産の価値が大幅に下落する。また、金利上昇により定額貯金等の預け替え、保険の解約が進む。 |
8 | 金融2社の株式売却に関するリスク | 金融2社株式の売却で損失が発生する、金融2社に代わる収益源を確保できない、あるいは、子会社の株式保有比率が低下してグループ一体的な業務運営が難しくなることにより顧客離れやブランド力の低下を招く。 |
9 | 国際物流事業に関するリスク | 国際物流事業を担うトール社のビジネスモデル・成長戦略が奏功しない、世界経済の減速、地政学リスクの高まりなど事業環境の悪化からの業績低迷等により、当社グループの収益が大幅に減少する。 |
10 | サステナビリティ経営に関するリスク | 当社グループのサステナビリティに関する重要課題について、取り組みが十分に進まず、ステークホルダーの支持を失う。 |