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- 2024年12月18日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容
2024年12月18日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容
- [会見者]
- 日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
- 【社長】
- 本日は2件、ご報告をいたします。まず1件目です。先月の11月18日からサービスを開始いたしました、日本郵政グループ独自のポイントサービス、「ゆうゆうポイント」についてです。「ゆうゆうポイント」は、郵便局への来客などで手軽にためることができ、たまったポイントは郵便局ならではの限定商品との交換や、家族へのシェアなど、お客さまと大切な人との結びつきを高める、お得や便利だけではない、郵便局ならではの新しいポイントです。
サービス開始から1カ月が経過したわけですが、ポイント発行数や利用者数は想定を上回る状況となっており、多くのお客さまにご利用いただけていると思っております。
また、ポイントサービス導入の狙いの一つでもありました、「ゆうID」の新規登録者数や「郵便局アプリ」のダウンロード数は、ポイントサービス導入前に比べて、「ゆうID」が約40%、「郵便局アプリ」が約55%増加をしているところです。
今後、2025年春には、郵便局窓口でのお買い物や「ゆうパック」などのサービス利用でポイントをためられるようになります。また、2026年度には、ためたポイントをお支払いにもご利用いただけるよう、順次サービスの拡充を行ってまいります。
本日は、さらに先日の報道発表に加えまして、新たに二つの施策を追加することになりましたので、これについてお知らせをいたします。
一つ目は交換商品の拡充です。このたび、大人気のサッカーテレビアニメ「ブルーロック」とのコラボレーショングッズを数量限定でポイント交換商品として提供させていただくことになりました。コラボレーショングッズは、切手型のアクリルキーホルダー、アクリルスタンド、缶バッジの3種類ございまして、2025年1月15日から交換いただけるようになります。また交換開始当初は、期間限定で、通常よりも低い50ポイントに設定をしておりますので、ぜひ、交換開始日までにポイントをためていただき、多くの方にご利用いただければと考えております。
二つ目は、新たなポイント付与キャンペーンについてです。毎年、元日に配達をいたします年賀状の一番上に、いつもポストがデザインをされている私のごあいさつ状を挟むことにしております。このあいさつ状の裏面を活用して、「年の初めの縁試しくじ」と称した施策を行うこととしており、抽選で5,000名様に「ゆうゆうポイント」2,025ポイントが当たるキャンペーンを実施する予定です。ぜひお楽しみいただきたいと思います。
引き続き、グループDXの推進に向けて、グループ共通のIDである、「ゆうID」を軸に、グループ各社とサービス連携を図りまして、「ゆうID」でご利用いただけるサービスの拡充と利便性を向上させるとともに、お客さま情報を一元的に把握して、お客さま一人一人に応じた最適なご提案をタイムリーにお届けできる環境整備を行ってまいります。
また、「郵便局アプリ」でもグループ各社のサービスと連携を図ってまいります。こういった取り組みによりまして、新しい郵便局体験をご提供してまいります。
2件目です。年末年始の業務運行についてのお知らせです。12月は例年、「ゆうパック」の量が平常月の5割増が通例ですが、今年の年末も細心の注意を払って日々の業務運行に努めており、現在まで特段の問題なく業務運行が確保できているところです。
年によっては気象条件などの関係もあり、全体の量が非常に多くなっている中で、配達に支障が生じたりすることもありますが、細心の注意を払いながら、私どもも日々の業務運行に努めていきたいと考えております。特にこれからは、今月15日から差し出しが始まりました年賀状の取り扱いが本格化する時期でもありますので、いわば最後の追い込みとなります。引き続き気を引き締めて取り組んでまいります。社員一同、元日に一通でも多くの年賀状をお届けするため、しっかりと頑張っていきたいと、このように思っております。
なお、年賀状の差し出しですが、元日に届くようにするためには、ぜひ今月の25日までにお出しいただけますと、確実に元日にお届けできます。年賀状の差し出しについてはこのようにお願いするものでございます。
また、荷物や郵便物の年始の配達ですが、年賀状を含む通常の郵便物につきましては、1月1日、それから1月3日のほか、来年は曜日の並びの関係で1月4日が土曜日になるのですが、1月4日の土曜日についても配達を実施いたします。思いがけない方から年賀状が届くこともあると思います。そのようなときには、ぜひ年明けの年賀状をお出しいただければと思います。
なお、その他の速達や書留、ゆうパックなどは通常どおり、休むことなく配達を実施してまいります。また、ゆうちょ銀行のATMについては、12月31日火曜日はほぼ全てのATM、約3万台がご利用いただけます。また1月1日水曜日から1月3日金曜日の間は、ご利用数の多い約1万8000台のATMが、ふだんの休日と同様にご利用をいただけます。詳細につきましては、日本郵便およびゆうちょ銀行のウェブサイトに掲示をしておりますので、そちらをご覧いただきたいと思います。
私からは以上でございます。
- 【記者】
- 物流をめぐる問題について大きく二つ伺わせていただきたいと思います。
一つ目が、2024年問題についてです。今年4月に運転手の残業規制が強化されて9カ月弱が経過しました。運転手不足による物流の停滞が懸念される中で、あまり表立って荷物が運べなくなるような状況というのは見えていないと思うのですが、一方で、統計とかを見ると、中小の運送事業者の倒産件数も増えている状況もあります。今年を振り返られて、日本郵便さんの物流には実際にどんな影響があったのか。さらにどんな課題が生じていて、これからどう取り組まれていかれようとしているのかというのを教えてください。
- 【社長】
- いわゆる2024年問題については、ご承知のとおり、トラックであれば時間外労働の上限規制を決めるものであり、トラックドライバーの拘束時間などが大きく影響を受けます。現実にはトラック運送便の確保が従来のままのやり方をしていると、業務運行がより厳しくなってきます。
先ほど申し上げましたように、年末は繁忙期でトラック運送便の需要が一時的に高まる時期です。また、委託単価も諸物価高騰の中で上昇してきておりますので、この2024年問題というのは、他社も同じだと思いますけど、当グループにとりましても非常に影響が大きい問題です。
こういう規制の強化などについては、当然のことながら、事前に分かっていたものですので、日本郵便では、子会社も含めて、今年の2月に物流の適正化、生産性向上に向けた自主行動計画を定めて、物流の効率化などに取り組んでいるところです。実際にどのようなことを行っているのかといいますと、一つ目は長距離運送便の中継ぎ輸送を拡大いたしました。1台で遠くまで輸送するのではなく、途中で荷物などを積み替えたりするということです。それから二つ目は、従前から行っていることではありますが、ロールパレットなどの輸送容器の使用を継続して行うことで荷役作業を効率的に行っていくということです。三つ目は、鉄道コンテナや航空便などの他の輸送方法の活用です。これは、もちろんダイヤなどにもよるのですが、他の輸送方法を活用して、全てをトラック運送便だけには頼らないということを行いました。
こうした取り組みのほか、セイノーグループ様など他の物流事業者との幹線輸送の共同運行などがあります。自動運転トラックによる幹線輸送の実現を目指した公道実証実験も、政府のお声がかりで行われています。そういった取り組みに参加することで、近い将来を見据えた取り組みについても今進めているところです。
トラックドライバー不足、それから物流業界が直面している課題に対応するために、引き続きさまざまな事業者との連携を含め、幅広く検討を進めていきたいと考えております。
- 【記者】
- 2点目が、ヤマトさんとの協業についてです。物流分野で提携したヤマト運輸さんから日本郵便さんへ、「クロネコゆうパケット」の配達委託の停止の打診があったという一部報道がありました。本日ヤマトさんからもリリースが出ていて、委託を進める中で、配送日数が以前より長くなったということで、委託スケジュールの見直しを申し入れたという内容でした。この件について改めて事実関係を可能な範囲で確認したいのと、ヤマトさんの今回の申し入れについて増田さんはどう受け止められているかということもお伺いさせてください。また、報道では、今回の件で郵政さんとか郵便さんが訴訟も辞さない構えみたいなのも一部出ていたと思うのですけど、この件に対する対応やヤマトさんとの今後の提携についてどうお考えになられているかも併せて伺わせてください。
- 【社長】
- まず、ヤマト運輸様との協業ですけれども、2023年6月19日にヤマトの長尾社長と当時の日本郵便の社長であった衣川と、それから私も入りまして、3人で持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意を締結いたしました。それをもとにメール便領域、それから小型薄物荷物領域で協議を進めてきました。
メール便の「クロネコDM便」については、「クロネコゆうメール」として2024年の2月に日本郵便に完全に移管されました。本来であれば2025年2月までに完全移管を予定しておりました、いわゆる小型薄物荷物領域の「クロネコゆうパケット」、それまでは「ネコポス」とヤマト運輸様では呼んでいたものですが、この「クロネコゆうパケット」に関して、ヤマト運輸様側の事情で、日本郵便への引き渡し計画を見直したいと、そのような申し入れが先日ヤマト運輸様からございまして、今、両者で協議をしております。今のところは、それ以上に何か協議が整ったということはございません。
それから、併せておたずねがございました、ヤマト運輸様が本日、重要なお知らせを公表されたということで、「クロネコゆうパケット」の送達速度、リードタイムの遅れを理由に、「ネコポス」の移管スケジュールの見直しについても申し入れをしたという内容のようですが、そもそもを申し上げますと、ヤマト運輸様で荷物を引き受けて取りまとめ、その後、郵便局に荷物を引き渡すというオペレーションで話をして、お互いに合意をしたものですので、従来の「ネコポス」と「クロネコゆうパケット」の送達速度に違いが出るというのは当然、両者とも合意済みの上で実施をしたということです。
したがって、私どもの受け止めとしては、両者が合意をした2023年6月には、お互いの得意分野を生かそうということだったのですが、先ほどご質問いただいた2024年問題、それからガソリンなどを使って車を走らせるのであれば、CO2も排出をするわけなので、積載量が少ない状態、空気を運ぶようなことにならないように、環境問題への対応も意識して、2024年問題、環境問題の解決に両者で協力し合って貢献しようというのが昨年6月のプレスリリースの内容にも記載されております。
私もこの問題は社会的な大義をしっかりと大手の会社同士が理解した上で守って、それで前に進んでいくということをまず示していくことが大事ではないかということで合意をしたこともありますので、今回、ヤマト運輸様側の事情で、いろいろ見直しの申し入れがありますが、お互い一度理解し合ったわけですから、できればそういう、社会的な大義を前提に、よく協議をしていきたいと思います。
今年の2月には、当時の岸田総理のもとで、経済産業大臣や国土交通大臣、トラック協会の会長、個別に当社やヤマト運輸様などの各社長が官邸に呼ばれて、ぜひ2024年問題などの解決のため、しっかりと取り組んでほしいということで、お互い協力し合って、この問題の解決に寄与していくということを申し上げた場面もございますので、せっかく進んだものはぜひ続けていきたいと考えております。
繰り返しになりますが、今回ヤマト運輸様から、いろいろな事情で見直しをしてほしいというお話しがありましたが、当然のことながら、送達速度については事前から合意をされておりますので、しっかりとお互いによく話をして、乗り越えていきたいと思っているところです。
- 【記者】
- 以前、郵便局での保険販売で、不正といいますか不適切な事案がありまして、その後、システムの改修などをされるということでしたが、かんぽ生命の一時払いの商品の現在の状況ですとか売れ行きの見通しですとか、どうなっているのかというところをお聞きしたいです。
- 【社長】
- 業務を委託している郵便局、それから、かんぽ生命独自でかんぽサービス部という部署があり、そこに1万人以上のコンサルタントがおります。ご質問いただいた「一時払い終身保険」については、両方のチャネルで販売をする形になっており、郵便局にお客さまにおいでいただく、来局をご案内することは今控えておりますけれども、いわゆるクロスセル未同意問題によって、販売量が大きく落ち込んでいるといったようなことは特に聞いておりません。それぞれのチャネルでしっかりと営業するということで、今、もう一度研修などを行っているところですが、営業のほうで具体的な数字が大きく悪化しているとか、そういったことは聞いておりません。
今年の秋以降、具体的には10月から、問題に応じて、窓口への来局誘致のご案内を止めております。繰り返しになりますが、大きな影響が出ているというものではございませんが、早くしっかりとした対応策を講じて、お客さまのニーズに応えていきたいと考えております。
- 【記者】
- 先ほどの「クロネコゆうパケット」の話でちょっと恐縮なのですが、2点ありまして、一つが今日いただいたヤマトさんの話だと、配達委託スケジュールの見直しに係る申し入れを行っているという表現なのですけれども、その申し入れの内容が、スケジュールの変更なのか、それとも、記事にあるような停止の打診と、ちょっと踏み込んだ表現なのですけれども、そのニュアンスの違いがちょっと分からないというのと、先ほどちょっとヤマトさんに聞いて、その時点で私が理解した話なのですけれども、やっぱりサービスが変わることでちょっと遅れが出たと。でも、遅れが出ることは想定もされていると。だけど、お客さんからやっぱり翌日配送がいいなあという声もあって、そういうことを日本郵便さんとも協議した上で、ヤマトからすると、11月22日にホームページでクロネコゆうパケットは2月1日から翌日配達を開始しますと公にしているのでありますと。それは日本郵便さんなど、理解された上で出したのですかって言ったら、そうですと。じゃ、問題ないよねと思ったのですけども、そもそもこの「クロネコゆうパケット」には、翌日配送サービスというものが想定されていないものだとすれば、それはちょっともう、この記事が出る以前に、11月22日のリリース時点で日本郵便側からすると、おいおい、そんなことを俺たちポスティングするつもりないよという、ちょっと別にあおるわけじゃないのですけども、その時点でちょっとおかしなことになっていたということでよろしいのでしょうか。
- 【社長】
- まず、今、お話ございましたヤマト運輸様が11月22日に発表した来年2月から翌日配達というお知らせですが、これは、ヤマト運輸様の独断で発出されていると理解しております。したがって両者間、日本郵便とヤマト運輸様が合意をして、このお知らせを出したものではないということであります。この点については私どもの理解をはっきりと申し上げておきます。
ですので、ヤマト運輸様がどのような意図でこのお知らせをお出しになったのかについては私どもも承知をしておりません。そして、日本郵便では、今お話のあった「クロネコゆうパケット」のリードタイムについて、来年2月から翌日配達とする予定も当然のことながらございません。当初の合意事項もそうでしたので、従来どおりでやっていこうと思っております。
そのほかについては、ヤマト運輸様といろいろ協議をしているということですが、社会的な大義がある協業だと思いますので、双方で真摯に話をして、協議を調えていくということが今、必要ではないかと思っております。
- 【記者】
- 一つ目の質問の、申し入れの内容のスケジュールの見直しとか停止とかの表現については。
- 【社長】
- いろいろお申し入れをいただき、お話をしている最中であるようです。交渉事でございますので、つまびらかにはしないほうがよろしいかと思いますが、いずれにしても、社会的に意味のある協業だと思っておりますので、その内容について、ヤマト運輸様の申し入れも含めて、しっかりとお互いに真摯に協議をしていただきたいと思っております。
- 【記者】
- すいません。つまびらかにはしないということでしたけれども、それ以外の納期の面で、スピードのところだとか、日本郵便さんのほうで何か課題だなと思っているところっていうのは今ないのでしょうか。例えば、「こねこ便」なんかは、業界関係者の方々が見た瞬間に、いや、「レターパック」じゃないかとみんな思ったと思いますし、そういったところについて、例えばどういう話をされているか、これが一つです。もう一つなのですけれども、2024年、これもちょっとヤマトさんに関わってしまうのですが、宅配業界は結構、価格競争になってしまったのでは、という面が少しあったかと思われます。業界としては、当然、2024年問題関連ですし、単価を上げて現場のドライバーなり、業界の地位を上げていこうという年だったと思うのですけども、なかなかそういうふうにいかなかったというところがあったと思います。来年以降について、増田さん、何かこういうふうにしていきたいとかあればぜひ教えてください。その2点です。
- 【社長】
- ヤマト運輸様が「こねこ便420」を、現在の日本郵便の類似商品と比較して10円程度安く出されたということでありますが、いずれにしても、得意分野をできるだけ生かそうということで小型薄物荷物は日本郵便で運ぶということを合意しているところなので、「こねこ便420」も含めて、こういう問題が起きたからには、よく協議していくしかないと思います。そこは乗り越えられる、あるいは乗り越えていかなくてはいけないことだと私は思います。
2024年問題は、業界全体にとっても各社にとっても非常に厳しい問題ではあるのですが、全体を見ると、要請されていることは社会的に意味があることであって、過酷な労働現場であれば、そこに応募してくる人がほとんどいなくなってしまいます。そもそも全体として非常に競争が激しい中で、働く環境をよくしていく必要がありますし、もう一つの環境問題、CO2の排出などの環境問題を考えれば、CO2を出している業界ですので、社会的な要請にしっかりと応えて、考えていく必要があります。テクノロジーで自動運転や無人運転の話はありますが、一足飛びにそちらに行けるわけでもないので、各社独自の考え方で、独自路線を行くのではなく、協力し合って協業するという方向を模索していく必要があると思います。しかも、運輸業界は非常に小規模な企業もたくさんあるわけですので、大きな企業が協業の精神を打ち出していく必要があると思います。日本郵便やヤマト運輸様などは、やはりそういう大義をよく踏まえた上で、行動していく必要があるだろうと思います。
一方で、ガソリン価格が上がっており、コストが掛かりなかなか大変なのですが、いわゆる価格転嫁の問題には本当に誠実に取り組まないといけませんし、多重下請けのような形になって、その一番末端に全部しわ寄せが行くようなことがあってはなりません。私どもも、価格転嫁をしっかりと行って、毎年春先になりますが、必要なものをお支払いできているかどうか、内容をちゃんと確認することを、今まで以上に精度を上げてやっていきたいと思っております。そういう価格転嫁においても、しっかりとしたリーダーシップを発揮していかなければいけないと思います。
働く環境の整備、価格転嫁の問題、それから環境問題など、全てにおいて非常に難しい問題でありますが、他の会社さんと協業するというのが一つの解に結びついていくだろうと思います。ヤマト運輸様はもちろんですが、それ以外のところとも、今後、内容をよく見て、できるだけお互い歩み寄って協業していければと思います。
- 【記者】
- ヤマトさんの件なのですけれども、スケジュールの見直しということですけれども、もちろん、それは前倒しではなくて、先送りの方向ということになりますよねということの確認と、あわせて、それに伴って、その委託料を、ヤマトさんからもらっている分というのが、その分減収になってくるかと、当然、要望などをのむと。それの、仮にそうなったときのインパクトということをどう捉えていらっしゃるかということを、まず、お伺いしたいと思います。
- 【社長】
- 今、協議中なので、そこは当初の予定のとおりできればいいと思いますし、ヤマト運輸様といろいろ話をしているという段階で、まだ特に決まっている状況はないと、日本郵便から聞いております。ヤマト運輸様側も、いろいろお話しされていると思うのですが、今、ちょうど、まさに協議をしている最中だと思います。
- 【記者】
- 要望に伴う配達委託料が減収になるというリスク、そのあたりはどう考えていらっしゃるのか。
- 【社長】
- スケジュールが変われば、影響が出てくる部分もあるかと思いますし、それは内容によりけりだと思います。どのような内容で合意に持っていくのかというのは、今、担当者同士で一生懸命やってくれていると思います。私は内容について詳細を聞いておりませんけれども、いずれにしても、よく協議する必要があると思います。必要性とか大義については、ヤマト運輸様も多分、ご理解をされていると思いますけど、やはりそういう大義実現のために、お互いによく話し合うというのは大事だと思います。内容については、それぞれの担当者ベースでの話し合いに任せたいと思います。
- 【記者】
- ありがとうございます。もう一つ、すみません。先ほども、ちょっとお話があったのですが、末端にしわ寄せが行かないようにという、いわば、その適正価格のような話、価格転嫁であったり、そういったところでいうと、今年は、ヤマトさんが、だいぶ、法人営業ということに攻勢をかけたことで、実際、数字としても単価が下がっているという、他社から見れば、割引のような状態にもなっていたりするわけなのですけれども、この2024年においての、その動きについてのご所見があれば伺いたいと思います。
- 【社長】
- それぞれの会社でお考えがあると思うのですが、日本郵便では、配達の質の面で、できるだけお客さまにアピールをして、使っていただくようにしていきたいと考えています。もちろん価格というのは、お客さまにとって非常に大きな判断要素になるとは思いますが、他社と極端な価格競争になると、結局、回り回ってお客さまにもしわ寄せが行くのではないかと思いますし、当然のことながら、先ほどご質問のあった価格転嫁という面でも極めてマイナスになると思います。ただ、他社の営業方針、活動方針は、各社いろいろお考えになっていると思いますが、基本は、しっかりとお届けをすること、確実に予定された期日、時間などをしっかりと順守して、丁寧にお渡しをする、そういう質の面でご理解いただけるように、努力していきたいと考えています。
あとは、やはり社会的に解決しなければいけない大義があると思いますので、そういうところにもぜひ貢献をしていきたいと思います。
- 【記者】
- 社長に就任して、来年年明けの1月で丸5年になるかと思いますので、5年間振り返って、ご自身の体制の評価、特にできたこと、まだ課題が残っていることをそれぞれ挙げながら、教えていただけないでしょうか。
- 【社長】
- 最初の2~3年は新型コロナウイルスの感染拡大があった時期での社長ということでありましたので、社会のさまざまなサービスがストップするなど、安定運行がなかなか厳しい状況でもありましたが、当グループの各社は、どれも社会のインフラ的な要素が強いところでありますので、できるだけ安定的、継続的に寄与できるように、そこを一番留意してやってきたつもりです。
社会的には、直近1年は特にそうでしたが、諸物価も高騰して、物価高騰をどう吸収するかということで、郵便料金の引き上げも行わせていただきました。国民の皆さま方としてはさまざまなご意見があると思いますが、30年間長らく取り組まれていなかったことについて、一応やれることはいろいろ試みたつもりです。
それからもう一つ、日本郵便の商品というと、基本的には郵便あるいは荷物のほか、郵便局の窓口でゆうちょ銀行やかんぽ生命の商品を、委託を受けてお客さまにサービスを提供しているのですが、それだけでは地域のニーズを全て満たせていないと思っています。かなり行政に寄った部分ですが、マイナンバーカードなどの取り扱いや、地方創生の流れの中では、郵便局が公共サービス的な業務を取り扱う、そういう意味合いのところを法律にも記載してもらっています。郵便局のこれから果たす役割で、今後広げていきたい分野については、足掛かりはこの何年かで出来上がってきたのではないかなと思います。
それから、まだまだだと思う点は、今年の秋以降から起きたクロスセルの問題があります。社会全体で個人情報の取り扱いのレベルや社会的な要請がぐっと非常に高くなってきているところですが、当グループは多くの個人情報を持っていますので、個人情報の取り扱いについて、しっかりと適切に取り組んでいかなければいけない分野が非常に多いと思います。
この場で取りあえず申し上げるとすると、今申し上げましたようなことを思うところであります。
- 【記者】
- ありがとうございます。関連して、そもそも増田社長が就任したときは、かんぽ生命の不祥事が一つのきっかけだったと覚えていますけれども、不祥事への対応とそれに伴って求められたガバナンス、コンプライアンスの構築、調整といった面では、5年間を振り返っていただいてもよろしいでしょうか。
- 【社長】
- これはどの企業もそうですが、大体不祥事というものは対応が遅いから不祥事になるようなところがあって、どこも似たようなリスクというのはみんな抱えていらっしゃると思います。ご質問のとおり、ちょうどかんぽ生命の問題で業務改善命令が発出されたときに社長に就任したのですが、ガバナンスについても改善を考えられるところは随分改善してきました。第三者委員会など外部の知見を活用し、また、自発的にまず社内でいろいろなことを未然に防ぐ意味では、内部通報制度などがその抑止力につながると思いますので、そういった制度は整備をしてきており、運用の段階に入っています。不十分なところは見直しをしてきたつもりではあるのですが、ある方が言っていましたが、制度がうまく出来上がったと思った途端に腐敗する、権腐十年とか言いますが、やはり制度というのは、つくっても魂を入れないといけないし、うまくいったと思うとすぐに足元をすくわれますので、緊張感を持って、考えられるようなことに常に対応できるように、もっと心しなければいけない点があります。
もう一つ、社会のインフラとして、今年初めの能登半島地震のような自然災害においても、直後に一番要請されるのは当グループの機能なのだろうと思っています。自然災害への対応も随分、訓練やシミュレーションをやってはおりますが、いざ何かあったときにうまくいかないことは多いと思います。それでも、その現場の瞬発力でいろいろやれるようにはしていかなくてはいけませんので、非常時への対応も併せてもっともっと磨いていく必要があると思います。
- 【記者】
- 「ゆうゆうポイント」なのですけれども、1カ月で好調だっていうことでさっきおっしゃられていたのですけれども、郵便局に実際に行ってみて、ポップが置いてあるのだなっていうのは分かったのですけども、そんなにこう目立った感じではない、まだ際立ってない印象を受けて、関心ある人とか、若い方たちが、今多分登録をどんどんされているような状況なのだと思います。ただ、地方の郵便局などでは、特にご高齢の方とかが見過ごしてしまうようなことも結構あるのかもしれないので、窓口で1日1回いらっしゃるだけでもポイントがつきますよ、やられてないのだったらお手伝いしましょうかみたいなことをやると、もっともっと増えていくのかもしれないと少し思ったのと、あと、テレビアニメもすごくいいアイデアだと思います。年賀状との連動も本当にすばらしいなと思うのですけれども、例えば郵便局のまちの保健室だとか、ラジオ体操だとか、MEKIMEKI体操だとか、何か健康施策と組み合わせてもちょっと面白いのかなって思ったので、そのあたりに対する、何かもう既に計画があるのかどうかというのを教えてください。
- 【社長】
- お話のあった、「ゆうゆうポイント」をもらうための2次元コードを書いたポップが郵便局の窓口に置いてあります。私も先月、今月と郵便局を訪問したときに見てきたのですが、物販の商品だとか、窓口にはいろいろなものを置いたりしておりますので、ちょっと目立ちにくいという印象は感じておりました。もっとPRすることを、社員も含めてやる必要もあるかもしれません。今回、年明けに行う「縁試しくじ」キャンペーンでうまく当たると、2,025ポイントが貯まるのですが、それによって引き換えられるものはまだ多くはありません。とにかくポイントを、全国の郵便局でもらえるというその仕組みをつくるところから始めて、ゆうちょ銀行、それからかんぽ生命とつなげて、将来的には日本郵政グループ全体でポイント利用をする状況をもっと充実させていきたいと思います。それから交換商品も、郵便局ならではものに換えられるというものをもっと充実させないといけないと思います。まず第一歩をスタートしたというところが今の状況です。いずれは、お支払いにもポイントを充てられるなど、そのようにしていきたいと思っています。
来年、再来年ぐらいになると、かなり充実したものに仕立てられると思います。いろいろなアイデアがあるのですが、まだちょっと申し上げるには生煮えのところがありますので、来年よく詰めて、できるだけ早く順次発表して、「ゆうゆうポイント」の魅力をお客さまにお伝えをしていきたいと思います。
それから、もちろん高齢のお客さまについては、操作を窓口の社員が手伝うことができるように順次していきたいと思うのですが、やはり高齢の方ですから、どうしても、こういう分野に不得意な方もいらっしゃると思います。ですので、あんまり無理することなく、ただ、こういったものに魅力を感じられる方、これからどんどん年を重ねるごとにそういう方が多くなっていかれると思いますので、できるだけ郵便局のファンを増やすその一つのツールや手段だと思って、内容の充実にさらに努めたいと思います。
- 【記者】
- ありがとうございます。あと、このアプリ関係というか、そういうもののグループ一体化のスケジュールってどんなイメージで今計画されているのでしょうか。
- 【社長】
- ゆうちょ銀行が一番遅れているのですが、2年後くらいを目途に、今のところまだ、確実なスケジュールが決まっているわけではありませんが、2026年度中には、ゆうちょ銀行もこのアプリに加わって、使えるようになるということを今目指すという段階です。
- 【記者】
- ありがとうございます。ゆうちょ銀行関係のアプリもすごく人気があるみたいだったので。あと、総務省が郵便局によるコミュニティーハブを本格展開できるように、来年度の予算要求で今まで以上に計上されるような方針だそうなのですけれども、そうした動きに連動して、郵便局を人が会話もできるような総合的な生活拠点構想っていうものに向けて、どのような今計画があるとか、もしあればお願いいたします。
- 【社長】
- 例えば、郵便局のスペースを利用して遠隔医療の拠点にするとか、郵便局が一つのハブになって、スマホ教室を開く、それからこれは郵便局というスペースというよりは、郵便局の社員がということですが、集落支援員という、あまり聞いたことはないかもしれませんが、集落を維持していく上で、市町村職員と集落支援員というのが集落の巡回などをするのですが、郵便局の社員が集落支援員になって集落を維持する仕事をやっていくといったようなこともアイデアとしてありますし、そのほか郵便局の空き家の見守りとか、自治体から公的な証明書とか、マイナンバーカードだけでなく、いろいろな業務のリクエストが来ておりますので、そういったことをもっと今後広げていきたいなと思っています。そういったものが広がっていくと、コミュニティーの、それこそかなりハブ的な機能を果たせるのではないかと思いますので、今、さまざまなことを、総務省や地方創生の担当部署などに伝えております。農村地域では地域を維持するのが大変です。そういった地域にも郵便局はありますので、そこでどういう活動ができるか、今、検討していますので、郵便局のスペース、あるいは郵便局の機能、それから社員のスキルの活用ということを、順次これからも広げていきたいと思います。
- 【記者】
- あと一点だけすみません。増田社長様も視察に行かれたと思うのですけれども、郵便車両に人を乗せるライドシェアについて、そういう過疎地の交通支援だとか、あと一方で、荷物を載せる郵便車両の「ぽすちょこ便」も、4年後をめどに100地域で展開をされるということですけれども、来年度の目標ってもうありますでしょうか。計画だとか。
- 【社長】
- 今回、北海道の上士幌町で自家用有償制度を活用した貨客混載の実証実験を行ったところです。国土交通大臣と一緒に上士幌町で視察を行ったのですが、通常業務の途中に貨客混載を実施できれば増やしていきたいといったものです。ポイントとしては、地元の自治体がどこまでこういった問題について参画して、ハブとなっていろいろやってくれるかということが大事なので、特に人を運ぶライドシェアの場合は、前向きに考えていただく自治体とよく話をしていきたいと思います。具体的な数値はまだ持つ段階には至っておりません。
- 【記者】
- ありがとうございました。
- (※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)