現在位置:
日本郵政ホームの中の
日本郵政株式会社の社長等会見の中の
2024年11月14日 木曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2024年11月14日 木曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
日本郵政株式会社 専務執行役 浅井 智範
【社長】
2025年3月期の中間決算のグループ全体の要旨ですが、まず、2025年3月期のグループ連結の中間純利益、すなわち親会社株主に帰属する中間純利益は1,394億円となり、前中間期と比べて、プラス192億円で16%の増益となっております。
 増益となった主な要因ですが、国内外の金融経済環境などを背景とした金融2社の増益と、本年度からAflac Incorporated様の持分法投資利益の計上を開始したことが主な要因となります。
 なお、日本郵便につきましては、郵便物の取扱量が減少したものの、ゆうメール・ゆうパケットなどの荷物の取扱量の増加により、収益はほぼ横ばいだった一方、人件費や集配運送委託費などの費用が増加をしており、前年度に続き中間純利益はマイナスの純損失となっているところです。
 通期の業績予想は、持株会社としては当期純利益2,800億円としており、進捗率は49.8%となっています。通期の業績予想については、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命からすでにご説明したかと思いますが、上半期の業績や今後の見通しなどから、金融2社については、通期業績予想を上方修正いたしました。
 一方でグループ連結につきましては、日本郵便の10月からの郵便料金の改定について、業績に与える影響が不透明であるといったことを踏まえ、現時点では据え置くこととしております。
 続いて株主還元についてご説明いたします。本年5月に公表いたしました配当予想、中間配当25円、期末配当25円の1株当たり年間配当50円について変更はございません。
 また、5月に公表いたしました、3,500億円を上限とする自己株式の取得の状況ですが、10月末時点で1,981億円が取得済みとなっております。
 私からの説明は以上でございます。詳細の内容につきましては、専務執行役の浅井からこの後、ご説明申し上げます。
【専務】
決算説明資料でご説明させていただきます。まず7ページ目ですが、改めてですが、今年度から業績管理の枠組みを大きく2点変更しております。
 1点目は下段中央にございます不動産事業セグメントです。昨年度まで郵便局窓口事業に属していた不動産事業と当社直接子会社の日本郵政不動産などを統合しまして、新たに独立した不動産事業セグメントとして新設をしております。
 2点目は右上のその他関連会社に記載がございますが、先ほど社長から説明がありましたように、Aflac Incorporated様に対する当社の議決権比率が20%を超えたということで、今期から持分法投資利益を連結決算上反映しております。
 これを踏まえまして、1ページ目にお戻りください。まず連結業績サマリーの全体感でございます。今回の決算概要を端的に申しますと、郵便・物流事業が引き続き厳しい環境という一方で、金融2社の市場運用が好調ということです。それから、Aflac Incorporated様の持分利益が順調に積み上がっているということで、全体としては堅調に推移しているということでございます。
 それでは計数面のご説明です。1ページ目の一番上にある経常収益ですが、5兆5,119億円で、前中間期比では1.9%の減となります。先ほどかんぽ生命から説明がありましたが、かんぽ生命の影響が主因でございます。その次に経常利益ですが、こちらは4,633億円で前中間期比38.2%の増、それから、親会社帰属の中間純利益、こちらにつきましては、1,394億円で前中間期比16%増となっております。
 通期予想との対比では右側に進捗率を示しておりますけれども、いずれも堅調に推移しております。
 続きまして2ページ目です。こちらが主要子会社のサマリーとなっております。
 ゆうちょ銀行とかんぽ生命については先ほど各社よりご説明いたしましたが、日本郵便は経常収益1兆6,449億円で、前中間期比では623億円の増収でございます。こちら要因が大きく二つございまして、国際物流のフォワーディング事業の為替の影響と、取扱量も増えているということで、収益と費用が両方で増えております。また、不動産事業の関係も増収でプラスになっております。
 他方、経常損益と中間純損益については、郵便・物流事業の経営環境が厳しいということで、400億円台の減益となっており、中間純損益は683億の赤字でございます。詳細は後ほどご説明させていただきます。
 4ページの滝図をご覧ください。純利益のグループ全体での増減の要因でございます。昨年の中間純利益が1,202億円でございますが、ここを起点に郵便・物流事業、それから郵便局窓口事業合わせまして約530億円の減益要因でございます。他方その右側4つのセグメントは増益でございます。特に銀行生命保険が600億円台後半の増益と、さらにその他としてAflac Incorporated様の持分利益453億円を取り込んでいるということで、経常損益はプラスの1,281億円でございます。
 他方、特別損益法人税のところについては、かんぽ生命での準備金の繰入額の増加や、ゆうちょ銀行の法人税の増加などで800億円弱の減。当社以外の、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株主様に帰属する損益が増えているということで、最終的にこの中間純利益は1,394億円で192億円の増益になっております。
 それでは、先に各セグメントのご説明をいたします。8ページ目が郵便・物流事業でございます。右上の取扱数量をご覧ください。郵便につきましては、デジタル化の進展などで、前期と同程度のマイナス3.3%で、減少傾向が続いておりますが、その上のゆうメールとゆうパケット、こちらはヤマト様との協業なども含めまして、ふた桁台の伸びになっております。さらに一番上のゆうパック、こちらは、楽天様との連携強化など、非常に厳しい経営環境の中、そういったことが奏功しまして前期から反転増加しているということで、取扱量全体では、微増でございます。これを損益に分析したのが左側でございますが、滝図の吹き出しにありますように、荷物分野がプラスということですが、普通郵便などの減で営業収益は23億円の減となっております。それに加えましてその右側、費用項目の人件費、輸送委託費、それからその他のシステム関連のスポット的な費用、こういったものがいずれも増加しております。
 この結果、右下の表をご覧ください。営業損益は947億円の赤字で、前期に比べまして439億円赤字が拡大している状況でございます。
 続きまして9ページの左側の滝図をご覧ください。まず受託手数料のところは吹き出しにありますようにゆうちょ銀行、かんぽ生命からの手数料の減少傾向が続いているということで75億円の減、それから人件費のところは、社員数の減少などございまして、23億円の減少となっておりますが、右の経費につきましては、シェアード化や施設管理の費用などが増えているということでございます。
 その結果、右下の表をご覧ください。営業収益は55億円の減収。加えまして営業費用が37億円増えており、営業利益につきましては前中間期比で93億円減の217億円、約3割の減益でございます。
 続きまして、国際物流セグメントでございます。こちらの左の滝図をご覧ください。ロジスティクス事業は一部不採算契約の撤退などで減収になっておりますが、その右側のフォワーディング事業、こちらが荷物の取扱量と取扱運賃の上昇などで大きく伸びているということでございます。
 これを受けまして右下の表をご覧ください。営業収益の一番右側、現地通貨ベースですと3億2,800万豪ドルの増収でございますが、その下の営業費用、こちらも委託費と連動する費用が3億2,000万豪ドル増えておりまして、一番下の営業損益ベースでは、前中間期比で800万豪ドル増の4,500万豪ドル。約2割の増益でございます。
 それから事業別には右上のグラフをご覧ください。フォワーディング事業は、昨年は赤字でございましたけれども、この中間期は黒字を確保しているということでございます。
 それから次のページご覧ください。新たな不動産事業セグメントでございます。右上の棒グラフ、まず賃貸のところが270億円で、前期よりも60億円増えております。この大宗が、昨年度来竣工いたしました、大阪、麻布台、五反田、こういったところの収益が8割がたを占めておりまして、加えて既存物件の入居率が上昇しているということでございます。それから黄色の分譲のところにつきましては、第1四半期でもありましたが、麻布台ヒルズ森JPタワーの分譲がほぼ大宗ということでございます。
 この結果右下の表、営業収益のところは対前年で239億円の増、それから営業費用も販売原価などで120億円増えていることで、最終的な営業損益は101億円の増、前中間期比118億円の増益になっております。それから続きまして、12ページ目は日本郵便の連結でございます。左側の滝図をご覧ください。先ほど来申し上げていますが、郵便・物流事業、それから郵便局窓口事業が減益。それに対して日本郵便における不動産事業はプラスでございます。これらを踏まえまして右の表、中段をご覧ください。営業損益はマイナスの626億円の赤字となります。最終的に一番下の中間純損益は683億円の赤字で、前中間期比472億円の減益でございます。
 以上を踏まえまして、5ページ目までお戻りください。冒頭社長からご説明いたしましたが、業績予想につきましては、金融2社が上方修正いたしますが、グループ連結では、日本郵便の状況を踏まえまして、業績予想は修正せずに据え置きとさせていただくということです。配当予想についても変更はございません。
 私からのご説明は以上となります。
【記者】
郵便事業についてお伺いしたいのですけど、まず1点目、金融が上方修正している中で郵政が上方修正していないところの要因として、郵便事業の10月の売り上げ含めた今後の見通しがなかなか立ちにくいというところが一つあると思うのですけど、この上半期赤字で下半期には基本的に収益改善に向かうと思うのですけど、この辺の見通しについてお伺いしたいのと、あと値上げによるそのプラスの要因とマイナスの要因も、例えば需要減みたいなところもあると思うのですがこの辺り、どのようなものを想定されているのかというのを教えていただけるとありがたいです。
【社長】
今、ご質問で触れられた通り、持株会社の業績見通しを修正していないのは、やはり、郵便の今後の見通しの問題があります。郵便料金値上げの影響がどの程度プラスに効いているのかが、まだ十分見通せないというところもございまして、第3四半期、値上げの効果がわかった時点でまた考えたいと思っていますが、現状はかなり保守的に、現状維持という形にしております。
 10月に値上げをさせていただきましたが、10月は、衆議院議員の選挙がありましたので、選挙関係郵便物がかなり出されております。それを除いた状況がどうなっているのかということも見ておりますが、(値上げ直前の)9月の駆け込みにより、10月には反動が出て、減少したりしますので、実際には11月以降のところをよく見ないとわからないということと、ちょうど11月1日から年賀状の販売が始まりましたが、これが従来からかなり収益に効いており、例年、年度後半はいつも業績が改善をしていくのですが、今回の郵便料金の値上げによって、どのような動きをするのかということが、まだ見通せていないので、それも見た上で業績見通しをどのようにするのか、第3四半期にしっかりと考えたいと思っています。
 いずれにしても、当然、年賀はがきの販売枚数自体も値上げしたことによって、年賀状から離れるお客さまもいらっしゃると思いますので、今回は当初発行枚数を10億7,000万枚まで減らしております。全体とすると、収益が改善することを期待しておりますが、その影響については、もう少し状況の推移を見て判断していきたいと思っています。
【記者】
あともう1点関連してお伺いしたいのですけど、ちょっと気が早いと思うのですが、この多分値上げの効果が綺麗に見えるのが来期になってくるのかなと思うのですけど、このあたり、総務省の予想とか、試算みたいのを含めると、結構黒字になるような試算があると思うのですがこの辺り現時点で、どのような見通しを持たれているか教えてください。
【社長】
現時点での判断はまだどちらに振れるという要素がわかりませんが、郵便料金引き上げの際に総務省が示した見通しというものを維持しておりますので、来年度は通期で値上げの効果が出てきて、郵便事業の収支は黒字化すると見通しております。
【記者】
グループ全体について1点お伺いさせていただきたいのですが、先般の非公開金融情報の不適切な利用があった件で、今現在郵便局での来局誘致は体制整備の間停止していると思いますが、そういったお客さんと接点が減少してしまうことによる下期の業績への影響をどのように織り込んでいらっしゃるのかという話をお伺いできればと思います。
【社長】
来局誘致手法についての不祥事があったことについて、改めてお詫び申し上げたいと思います。今、下期の影響についても精査しているところです。現時点では郵便局からの来局誘致をストップしていますが、委託元の金融2社からのお客さまへのご案内は継続しており、また、来局されたお客さまへのアフターフォロー活動は別途、行っておりますが、いわゆる販売件数の影響については、抑えられるのではないかと思っています。
 このように申しますのは、かんぽ生命のコンサルタントが各郵便局のかんぽサービス部に配属されており、彼らが直接いろいろ活動をしており、従来通り変わりなくやっております。
 従って、影響は抑えられ、小さいのではないかと見通しておりますが、来局誘致をストップさせてから、それほど時間が経っておりませんので、その点についてはよく注視をしていきたいと思っています。
【記者】
ゆうパケットが、前中間期比18.6%増加ということで、ヤマト様との協業の影響が大きいということだったのですけども、この中のどれぐらいの割合をそこが占めていらっしゃるのでしょうか。
【専務】
具体的な数字というのは切り分けが少し難しいということで、回答を差し控えさせていただければと思います。申し訳ございません。
【記者】
ゆうパックの1.1%増加というのも、楽天様とのというようなお話だったのですけど、同じような感じですかね。
【専務】
楽天様との協業の取扱数量については、具体的な数字は控えさせていただきますが、前年度から比べますと大体1割くらいは増えているといったような状況でございます。
【記者】
費用がすごくかかっているとのことですが、取扱数量に比例して同じ割合で費用も増えてしまっているのでしょうか。
【社長】
人件費が増えているのは、いわゆるベースアップを実施したのでその分増えているのが一つです。
 それから諸物価高騰の影響もこの中に入っております。従って、そういった物価の上昇連動で増えているところが大宗でございます。
【記者】
ありがとうございます。あと、株式の売却益はどういうところで確認すればいいのですか。
【社長】
株式売却は、直近ですと昨年3月にゆうちょ銀行の株式を一定割合売却しましたが、株主還元で自己株式取得に回った分、それから、各分野の投資に回った分に出ておりますので、売却益という形では、この決算の中では出てきておりません。各事業の中に溶け込んでおります。
【専務】
ゆうちょ銀行の株式の売却益については、これは単体上ですので連結決算には反映されません。単体の方では出ておりますが、今回のこの決算短信は上期ですので、この中には入ってきておりません。それから今社長がお話しされましたが、売却に伴う資金については、自己株式取得とか投資など、そういったところにそれぞれ充当しているということでございます。
【記者】
わかりました。今期からAflac様が入ったってことですね。その影響もかなりあったっていうところで見ていいのでしょうか。
【社長】
先ほど説明した通り、その持分法適用の部分が今回の利益の方に入ってきておりますので、影響がありました。プラスに効いているということであります。
【専務】
補足しますと、6ページをご覧いただければと思います。参考情報ですので説明を割愛させていただきましたが、Aflac Incorporated様の通期予想では480億円と5月に公表しておられますが、第2四半期までで453億円積み上がっております。
 ただ、これだけ見ますとこれを倍するのかという感じに見えるのですがAflac Incorporated様ではすでに、第3四半期決算を10月末に公表しておりまして、ここでいう当期純利益というのが第1四半期、第2四半期は18億ドルとか17億ドルなのですが、第3四半期は9,300万ドルのマイナスですので、現状、このまま第4四半期まで伸びるという状況にはないということでございます。
(※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)